【個人情報は大丈夫?】ChatGPTで作る退院時指導の書き方

リハ職の書類作成:退院時指導の下書きをChatGPTで。コピペ用の指示文つき。書類とペン、時計のイラスト。 Uncategorized

定時を過ぎてから、退院時指導の書類と向き合う夜はありませんか。「今日も残業になってしまった」「本当は家族との時間を大切にしたい」。そう感じながらパソコンに向かう理学療法士や作業療法士は、決して少なくないはずです。書類作成に追われる毎日が続くと、いつの間にか「これが普通」だと思い込んでしまいがちです。でも、その時間の一部は、AIの力を借りることで確かに減らせます。この記事では、急性期病院で働きながらChatGPTを退院時指導の作成に取り入れている実例を、個人情報の扱い方から具体的な指示文の例まで、順を追ってご紹介します。特別な知識がなくても、今日から試せる内容にまとめました。

ChatGPT活用時の個人情報の注意点

利用前の3つの確認

01 職場のルール

業務での利用が認められているか確認する。

02 サービスの情報の扱い

入力内容の保存・利用条件を確認する。

03 入力する内容

個人を特定できる情報を含めない。

ChatGPTを退院時指導に使うと聞いて、まず気になるのは個人情報の扱いではないでしょうか。患者さんの情報を守ることは、リハビリ職にとって当然の責任です。だからこそ、AIに何を入力してよく、何を入力してはいけないのかを、最初にはっきりさせておく必要があります。この境界線があいまいなままだと、便利さよりも不安の方が大きくなってしまうでしょう。ここでは、実際に気をつけている考え方を、具体例とあわせてお伝えします。読み終える頃には、安心して一歩を踏み出せるはずです。

入力してはいけない情報

結論として、実名・生年月日・住所・入院日など、個人を特定できる情報は入力しません。理由は、AIサービスの多くが、入力された内容を学習や改善に利用する可能性を否定していないためです。

たとえば「〇〇病院に入院中の78歳女性」という書き方は避け、「高齢の女性、大腿骨頸部骨折術後」という形に置き換えます。同じように、ご家族の名前や連絡先、勤務先といった周辺情報も、本人が特定される手がかりになりえるので注意が必要です。書き方を少し変えるだけで、安心して使える範囲がぐっと広がります。

  • 実名・ニックネーム
  • 生年月日・年齢の詳細
  • 住所・勤務先名
  • 入院日・手術日などの具体的な日付

匿名化・仮名化の具体例

匿名化と聞くと難しく感じるかもしれませんが、やり方はシンプルです。年齢は「〇〇代」に、疾患名はそのまま、家族構成は「一人暮らし予定」、環境は「階段のある住居」のように抽象化します。

具体的には、「78歳女性、独居、大腿骨頸部骨折術後」を「高齢者、一人暮らし予定、大腿骨頸部骨折術後」と書き換えるだけです。日付や場所も同じように扱い、「9月に入院」ではなく「先月入院」といった相対的な表現にすると、さらに安心です。この程度の抽象化でも、指示文としては十分に機能します。

職場のルール確認の重要性

個人の判断だけに頼るのは危険です。病院や施設によって、AIの利用に関する方針が異なるためです。

情報システム部門やコンプライアンス担当に、一度確認しておくと安心できます。方針がまだ決まっていない職場も少なくありません。その場合は、上長に相談し、了承を得てから使い始めることをおすすめします。自己判断だけで進めてしまうと、後から思わぬトラブルになることもあります。

もう一つ、安心材料になるのがChatGPT自体の設定です。「チャット履歴とモデルのトレーニング」をオフにしておくと、それ以降の会話が学習に使われなくなります。

  • 右上のプロフィールアイコンから「設定」を開く
  • 「データコントロール」を選ぶ
  • 「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする

ただし、この設定はあくまで追加の安心材料です。過去に送った内容はさかのぼって削除できず、オプトアウト後も不正利用防止のため一定期間はデータが保持されます。個人情報を入力しないという基本のルールは、この設定をオンにしても変わりません。

退院時指導をAIで作る3つの手順

下書き作成の3ステップ

  1. STEP 01

    伝える内容を整理

    必要な項目と、特に伝えたいことを決める。
  2. STEP 02

    AIで文章化

    指示文を使って、下書きを作る。
  3. STEP 03

    担当者が確認・修正

    事実と表現を確かめて仕上げる。

個人情報の扱い方が分かったところで、実際の作り方を見ていきましょう。難しい操作は必要なく、3つの手順を踏むだけで下書きが完成します。ここでは、症状の整理からChatGPTへの指示、そして出力のチェックまで、実際の流れに沿って説明します。最初は戸惑うかもしれませんが、慣れてしまえば数分の作業です。初めてAIを使う方でも、この順番どおりに進めれば迷いません。

症状と生活状況の整理

まず、患者さんの情報を整理します。次の10項目を意識しておくと、AIへの指示文がスムーズに作れます。

  • 年齢層・疾患名(例:高齢者、大腿骨頸部骨折術後)
  • 退院先(例:自宅、施設)
  • 家族構成(例:一人暮らし予定、同居家族あり)
  • 生活環境(例:階段のある住居、エレベーターなし)
  • 現在の移動能力(例:屋内歩行器で自立、屋外は付き添いが必要)
  • ADLと必要な介助(例:入浴の見守りが必要、更衣は自立)
  • 退院後に心配している生活場面・リスク(例:階段昇降時の転倒)
  • 家族にお願いしたい見守り・介助(例:入浴時の見守り)
  • 自宅内の移動や外出などで注意してほしいこと(例:夜間は必ず照明をつける)
  • 退院後も継続してほしいこと(例:下肢筋力訓練)

すべてがそろわなくてもかまいません。分かる範囲で整理しておくだけで、AIへの指示文がぶれなく作れますし、後から情報を付け足す手間も減らせます。慣れてくると、カルテを見ながら数分で整理できるようになるでしょう。

ChatGPTへの指示文の作り方

指示文(プロンプト)にはいくつかの使い方があります。中でもおすすめなのは、ChatGPTと会話しながら情報を引き出してもらう方法です。音声入力を使えば、PCに向かえないときやカルテ記載で手が離せないときでも進められるので、時短につながります。

ここからコピー|患者さん・ご家族向け(会話形式)

使う前に、職場のルールと入力内容を確認してください。

患者さん本人・ご家族向けの「退院後の生活上の注意点」を作成したいです。

私が担当PTとして把握している情報を引き出すため、以下の内容について1回に1つずつ質問してください。

・年齢層・疾患名
・退院先
①家族構成
②生活環境(住居の階段や段差の有無など)
③現在の移動能力(立ち上がり・移乗・歩行など)
④ADLと必要な介助
⑤退院後に心配している生活場面やリスク
⑥家族にお願いしたい見守り・介助
⑦自宅内の移動や外出などで注意してほしいこと
⑧退院後も継続してほしいこと

まず、①〜⑧のうち、今回特に重点的に伝えたい項目の番号を聞いてください。番号が挙がった項目は詳しく質問し、それ以外の項目は簡単な確認にとどめてください。

質問には、可能なものは選択肢を提示し、番号で回答できるようにしてください。「その他(自由入力)」も設けてください。

回答には、患者さんを特定できる情報(実名・生年月日・住所など)は含めないでください。年代や状態が伝わる表現でお答えします。

すでに回答した内容は繰り返し質問せず、十分な情報が得られている場合は深掘りしすぎないでください。不足している場合のみ追加で質問してください。

必要な情報がそろったら、患者さん・ご家族にわかりやすい言葉で、退院時指導の下書きにまとめてください。

「できること」「見守りや介助が必要なこと」は、遠回しにせず、「〜は可能です」「〜には見守りが必要です」のように、はっきりと言い切る書き方にしてください。全体は300〜400字程度でまとめてください。

入力していない患者情報を推測したり、疾患名だけから症状を判断したり、私が回答していない指導内容を追加したりしないでください。

それでは、最初の質問を1つしてください。

PCでまとめて入力したい場合や、退院先が施設の場合は、下の項目から選んでみてください。

空欄を埋める形で一度に指示したい場合は、以下のテンプレートを使ってください。

ここからコピー|患者さん・ご家族向け(一括入力形式)

空欄を埋める前に、職場のルールと入力内容を確認してください。

【コピペ用テンプレート:患者さん・ご家族向け】
以下の情報をもとに、患者さん本人・ご家族向けの「退院後の生活で気をつけていただきたいこと」の下書きを作成してください。

年齢層・疾患名:[ ]
退院先:[ ]

①家族構成:[ ]
②生活環境(住居の階段や段差の有無など):[ ]
③現在の移動能力(立ち上がり・移乗・歩行など):[ ]
④ADLと必要な介助:[ ]
⑤退院後に心配している生活場面・リスク:[ ]
⑥家族にお願いしたい見守り・介助:[ ]
⑦自宅内の移動や外出などで注意してほしいこと:[ ]
⑧退院後も継続してほしいこと:[ ]

重要指導ポイント:(  )番

※患者さんを特定できる情報(実名・生年月日・住所など)は入力しないでください。

患者さん・ご家族が理解しやすいよう、専門用語をできるだけ使わず、実際の生活をイメージしやすい文章にしてください。

「できること」「見守りや介助が必要なこと」は、遠回しにせず、「〜は可能です」「〜には見守りが必要です」のように、はっきりと言い切る書き方にしてください。

(  )番の項目は文章の中心として詳しく扱ってください。番号のない項目は、記載があれば補足として軽く触れる程度にし、空欄の項目には触れないでください。

全体を300〜400字程度でまとめてください。

入力されていない患者情報を推測したり、疾患名だけから症状を判断したり、入力内容にない指導を追加したりしないでください。

[ ]の部分に、担当する患者さんの情報をそのまま当てはめるだけで完成します。①〜⑧すべてを細かく埋める必要はありません。今回特に伝えたい項目だけ「重要指導ポイント」欄に番号を書き込めば、AIがそこを中心にまとめてくれます。

退院先が自宅ではなく施設の場合は、患者さん・ご家族向けとは別に、スタッフ向けの申し送り文を用意すると引き継ぎがスムーズになるでしょう。専門用語を使って構わない分、ADLの状況やリハビリの目標を中心にまとめます。

▼会話形式(音声入力の精度や会話のスムーズさから、ChatGPTがおすすめです)

ここからコピー|施設スタッフ向け(会話形式)

使う前に、職場のルールと入力内容を確認してください。

退院先施設のスタッフへ向けた「リハビリ状況・生活上の申し送り」を作成したいです。

私が担当PTとして把握している情報を引き出すため、以下の内容について1回に1つずつ質問してください。

・年齢層・疾患名
①現在の移動能力(立ち上がり・移乗・歩行など)
②ADLの状況と必要な介助量
③リハビリで行ってきた内容・訓練経過
④退院時点での機能面の課題・注意点(転倒リスクなど)
⑤服薬状況や医療的な留意事項(あれば)
⑥退院後のリハビリ目標・継続してほしい訓練内容
⑦申し送りたい生活上の注意点
⑧家族の介護力・関わり状況(あれば)
・その他申し送りたいこと

まず、①〜⑧のうち、今回特に重点的に申し送りたい項目の番号を聞いてください。番号が挙がった項目は詳しく質問し、それ以外の項目は簡単な確認にとどめてください。

質問には、可能なものは選択肢を提示し、番号で回答できるようにしてください。「その他(自由入力)」も設けてください。

回答には、患者さんを特定できる情報(実名・生年月日・住所など)は含めないでください。年代や状態が伝わる表現でお答えします。

すでに回答した内容は繰り返し質問せず、十分な情報が得られている場合は深掘りしすぎないでください。不足している場合のみ追加で質問してください。

必要な情報がそろったら、退院先施設のスタッフに向けて、ADLの状況とリハビリ継続のポイントが伝わる申し送り文としてまとめてください。専門用語を使って構いません。全体は300〜400字程度でまとめてください。

入力していない患者情報を推測したり、疾患名だけから症状を判断したり、私が回答していない内容を追加したりしないでください。

それでは、最初の質問を1つしてください。

▼一括入力形式

ここからコピー|施設スタッフ向け(一括入力形式)

空欄を埋める前に、職場のルールと入力内容を確認してください。

以下の情報をもとに、退院先施設のスタッフへ向けた「リハビリ状況・生活上の申し送り文」を作成してください。

年齢層・疾患名:[ ]

①現在の移動能力(立ち上がり・移乗・歩行など):[ ]
②ADLの状況と必要な介助量:[ ]
③リハビリで行ってきた内容・訓練経過:[ ]
④退院時点での機能面の課題・注意点(転倒リスクなど):[ ]
⑤服薬状況や医療的な留意事項(あれば):[ ]
⑥退院後のリハビリ目標・継続してほしい訓練内容:[ ]
⑦申し送りたい生活上の注意点:[ ]
⑧家族の介護力・関わり状況(あれば):[ ]

重要申し送りポイント:(  )番

※患者さんを特定できる情報(実名・生年月日・住所など)は入力しないでください。

ADLの状況とリハビリ継続のポイントが伝わるよう、申し送り文としてまとめてください。専門用語を使って構いません。

(  )番の項目は文章の中心として詳しく扱ってください。番号のない項目は、記載があれば補足として軽く触れる程度にし、空欄の項目には触れないでください。

全体は300〜400字程度でまとめてください。

入力されていない患者情報を推測したり、疾患名だけから症状を判断したり、入力内容にない指導を追加したりしないでください。

下書きは、どう直す?

架空の文章例です。実際の患者情報やChatGPTの実測出力ではなく、修正の考え方を示すために作成しています。

伝えたい内容:説明した内容でわからない点は、担当スタッフに確認してほしい。

修正前の例

不明点がございましたら、適宜ご照会ください。

わかりやすく修正

説明した内容でわからないことがあれば、担当スタッフにおたずねください。

直したポイント:「適宜ご照会」を日常の言葉に置き換え、誰に聞けばよいかを明確にしました。新しい指導内容は追加していません。

出力文のチェックと修正

AIが作った文章を、そのまま渡すことはしません。実際の患者さんの状況と照らし合わせて、必ず自分の言葉で仕上げます

理由は、AIが患者さん固有の事情まで理解しているわけではないためです。専門用語が急に混ざっていたり、実際とは違う家族構成や環境が書かれていたりすることもあります。違和感のある表現や、事実と異なる部分がないか、印刷する前に一度読み直す習慣をつけましょう。

AI活用の得意分野と注意点

下書きはAI、仕上げは担当者

AIに手伝ってもらうこと

文章の下書き・言葉の言い換え

担当者が確認すること

事実との一致・指導内容・伝わりやすさ

AIを使い始めると、何でもできそうに感じてしまうかもしれません。しかし実際には、得意なことと苦手なことがはっきり分かれています。得意な部分に任せ、苦手な部分は自分で補うという役割分担が大切です。この線引きを知らないまま使うと、思わぬ失敗につながることもあります。ここでは、実際に使ってみて感じた得意・苦手を整理します。

定型文章の下書き作成

AIが最も力を発揮するのは、決まった型のある文章の下書きです。退院時指導のように、伝えるべき項目がある程度決まっている文章は、AIとの相性が良いといえます。

ゼロから文章を考える時間が、大きく短縮されます。真っ白な画面を前に言葉を探す時間がなくなるだけでも、精神的な負担はかなり軽くなるものです。まずは下書き作りから任せてみるのがおすすめです。

専門用語の言い換え

医療用語を、患者さん向けの分かりやすい言葉に言い換える作業も、AIの得意分野といえます。「荷重制限」を「体重をかけてはいけない期間」と言い換える、といった具合です。

普段何気なく使っている言葉ほど、患者さんには伝わりにくいものです。専門用語の言い換えに時間を取られていた方ほど、時短の効果を実感しやすいでしょう。

正確性確認の必要性

一方で、医療情報の正確性までは保証されていません。古い情報や、一般論としては正しくても患者さん個人には当てはまらない内容が混じることもあります。

AIが出した内容を鵜呑みにせず、必ず自分の知識と照らし合わせて確認してください。最終的な責任は、AIではなく自分にあるという意識を忘れないようにしましょう。

退院時指導へのAI活用でよくある質問

ここまでの内容について、よくいただく質問をまとめました。個人情報の扱いから、他のAIツールとの違いまで、実際に疑問に感じやすいポイントを取り上げています。「これだけは先に知っておきたい」という声が多かった部分を中心に選びました。気になる項目から読んでいただいて構いません。順番に読まなくても、内容が伝わるようにまとめています。

患者の実名を入力しても良いですか

実名の入力はおすすめしません。年齢層や疾患名など、個人を特定できない形に置き換えてから使うようにしてください。生年月日や住所も同様に、抽象化した表現に直すことをおすすめします。

無料版のChatGPTでも使えますか

無料版でも、退院時指導の下書き作成には十分対応できます。まずは無料版で試し、使う頻度が増えてきたら有料プランへの切り替えを検討するとよいでしょう。

AIが作った文章をそのまま渡しても良いですか

そのまま渡すことはおすすめしません。必ず内容を確認し、患者さんの実際の状況に合わせて修正してから使ってください。表現が硬すぎる部分は、口頭で説明するときの言葉に近づけると伝わりやすくなります。

職場でAI利用を禁止されている場合はどうすればいいですか

職場のルールが優先されます。情報システム部門や上長に相談し、方針が明確になってから利用を検討してください。個人のスマートフォンなど、業務用端末以外での利用も、あわせて確認しておくと安心です。

ChatGPT以外のAIでも同じ方法が使えますか

基本的な考え方は同じです。個人情報を入力しない、出力を必ず確認するという2点を軸にしつつ、サービスごとのデータの取り扱いも確認しておくと、他のAIサービスでも応用できます。使い慣れたAIがあれば、まずはそちらで試してみるのもよい方法です。

まとめ

個人情報を入力しないことに加えて、職場のAI利用ルールや、使用するサービスのデータの取り扱いも確認しておくと、AIは退院時指導の下書き作りをより安心して助けてくれます。慣れないうちは戸惑うかもしれませんが、1件、2件と試すうちに、自分なりのやり方が見えてくるはずです。

まずは1件、今日担当している患者さんの下書きから試してみませんか。小さな一歩が、定時で帰れる毎日への近道になるはずです。次回は、AIをまだ触ったことがない方に向けて、ChatGPTの始め方をご紹介します。あわせてご覧いただければ嬉しいです。

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